占い師・真木あかりのブログ

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2023年8月31日、うお座満月。癒しと救済──思い出は、優しい光のなかに。

2023年8月31日、うお座で満月が起こります。うお座では8月2日にも満月がありました。スタージョンムーンにしてブルームーンスーパームーンという情報が忙しい満月なのですが、夏の終わりに大きく輝く満月です。満月については、例によって例のごとくVOGUE様で書いておりますので、よろしければご覧になってみてください。

www.vogue.co.jp

 

おおまかなことはVOGUE様で書いてしまったので、ちょっと個人的な見解を…

 

うお座満月、「癒し」や「救済」という意味合いが強調されます。水星逆行という「過去」が強調される時期だけに、終わったことや失ったことを大切に大切に思い返し、痛みを味わい直している方もいらっしゃるでしょうか。でも、ここで思い出すのは自分を傷つけ直すことではありません。「もういいよ」「立ち直っていいよ」と、自分を許すために思い出しているのですね。

忘れるって、ときに自分に対する裏切りのように感じられることもあります。心の全部がもぎ取られるような思いをして、全身がしわしわになるんじゃないかと思うくらい泣いて、こんなつらい思いをするなんて金輪際ないだろうと確信する。二度と忘れない、忘れられるはずがない──そんなふうに思ったとき、記憶が鮮やかに残っているというのは、自分がそこまで誰かや何かに人生や想いや、大切にしていたものを注いだという証明になるんです。鮮やかであり続けるほど、自分の想いが「ほんもの」であったと思わせてくれます

そうなると、「立ち直りたいという気持ちはあるのに、立ち直ることが自分で許せない」というダブルバインドな心理になります。つらいことからは逃れたい。でも、記憶が薄れるはずなんてない。あんなにつらい思いをするほど、大事なことだったんだから。

人は、つらい思い出から忘れていくと言われます。今も脳裏に浮かぶ情景がふわっとソフトフォーカスになって、一緒にいた人の顔も印象になって、きらめきだけが残って。だからこそ、楔のように残る痛みは”特別”なんですね。

 

でも、吐くような苦しみの記憶をずっと持ち続けても、いいことってあまりないいです。その記憶に住む人がどんなに大切であっても、現実を生きていかなければいけません。そんなことは百も承知で、でも苦しくて……覚えていたくて。でも、理屈じゃないんです。

私はずっと、そんな人生でした。ほんとうだった。ほんものだった。あの時間に起こったことは、嘘なんかじゃなかった。繰り返し生々しく傷つき直すことを、自分で選んできました。ばかな人生でしたが、それしかできなかったんだと思います。大事だったから。それだけが、自分の証明だと思っていたから。生きるのが下手です。

 

でも、そんなに無理をしなくても、よかったんですよね。「終わったこと」があるというのは「あったこと」の証拠です。糸井重里さんが『思えば、孤独は美しい。』という本のなかで書いていた「別れることは、いっしょにいたということ。」という言葉を思い出します。思い出がソフトフォーカスになっても、痛みが優しく和らいでいっても、事実は変わらない。いっしょにいたことが、なくなったりは、しない。だから、それはそれとして、幸せになっていい。

うお座の満月は、癒しと救済の月です。そして今回は、逆行中の土星がすぐそばにいます。今の自分に、余計なことを強いなくてもいいよ。立ち直って大丈夫だよ。そんなに、厳しくしなくてもいいんだよ──そんなことを、この満月は呼びかけているように思います。

 

どなたにとっても、よい満月でありますように。

 

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<およそ教訓のない近況>

こんな夏の終わりの日は、20代の終わりの夏の日々を思い出します。渋谷のネットベンチャーで会社員をやっていた頃、毎日朝3時頃まで仕事をし、道玄坂上のバーで1杯引っ掛けて帰るという日々でした。土日もずっと執筆で、まあ今からしたら「バーで飲む暇があるなら原稿を書け」と思うわけですが、まあ暇でしたよね。帰りしなにバーに寄る時間は唯一の──とまでは申しませんが、大きな楽しみであり慰めでした。その時間まで飲んでいる客なんてろくなんもんじゃありません……めっちゃ楽しいです。某大使館の坊っちゃんとか、すぐ裸になるトランペッターとか、某高級スーパーのバイヤーとか。で、バーの窓からは渋谷の有名なデリヘルマンションが見えて、赤い照明のなかで男女が踊り狂っている部屋とかが見えるわけです。あれは何だったんだ。まあそんなことはどうでもいいのですが、普段はまるで接点がない人たちと話す時間が楽しみでもありました。夏は夜明けが早いから、空がすっかり白んでから帰ることもありました。土曜日とかね。

さてそんなある日、珍しく常識的な時間に恋人とそのバーを訪問したのですが、扉を開いて驚愕しました。店内にいる客が元彼と元彼なんですよ。君たち普段こんな時間に来ないだろ。ややこしいので元彼①と元彼②としましょう。まあきれいに別れているので別にいいのですが、元彼①が泰二(仮名)、元彼②が二郎(仮名)、そして私が連れて行った恋人が泰二郎(仮名)という構成になっていたのでした。なんなんだ、ってお前が一番なんなんだと読者様は思われたでしょうが、この偶然の一致に気づいてメチャメチャ面白いのに、その場にいる人に誰にも言えないという。今だったら「3人揃って泰二郎(仮名)wwwwwww」とかオチをつけることですが……ってwwwどころじゃないか。

いやー狭い範囲で恋をするのはやめようと思ってから15年以上が経ちました。まあ実際はその後も狭い範囲でいろいろとバキューンバキューン(善意からの伏字)だったりバキューンバキューンだったりしましたが、泰二郎たちとは全員いろいろあったものの、全員良いところもあり、全員一生懸命生きていて、全員それぞれに大好きでした。全員幸せでいてくれ。