2023年3月7日、おとめ座で満月が起こります。満月となる正確な時間は21:40、その後22:35に「制限と試練の星」と呼ばれる土星がうお座に入ります。土星は2020年末にみずがめ座に入り、木星と重なってグレート・コンジャンクションに。以来、みずがめ座に滞在していました。今回のサイン移動は、2023年の星の動きのなかでも注目すべき転換点のひとつです。ここを境に、「3年ほど、おのれを律するかのようにして頑張ってきたこと」に目処がつく人は多いでしょう。ただ終わるだけではありません。この世の中で生きていくための力を、きっと身につけているはず。そしてまた、3年ほどかけて頑張っていく次のテーマが始まるわけですね。
土星は苦手、という方は少なくありません。試練なんて感じることなく気楽に生きたいし、制限なんて受けたくない。ただ、土星が常にどこかに巡っているように、私たちは幸せで胸いっぱいなときでさえも、何かしら心配事や、心をきゅっと引き締めなければ対峙できないことを抱えています。幸せなだけ、楽なだけの人生なんてないのですよね。
でも、逆にいえば不幸なだけの人生もありません。土星がもたらす”試練”的なものを、「いやだなあ」と感じてもなお「今の自分には、必要なことなのだろうな」と受け止めてみると、見える世界も「能動的になんとかしていけること」に変わってくるんじゃないかと思います。なんでもポジティブに受け止めろ、なんて説教臭いことは申しません。無理矢理そう思ったって、納得できるのはごく表層の部分だけです。それよりも「今の自分のしんどさにも、なんらかの意味があるんだろう。土星とかね」と思ってみる。それが、占いを上手く使っていく方法のひとつなのではないかと思います。土星は乗り越えられない苦難は与えないと言われています。切り抜ける方法を徹底的に探して、自分としてもオトナになって、それでちゃんと乗り越えられますし、ここで得た経験は今後の人生で必ず、役に立ちます。
……とここまで熱弁をふるって(文字だけど)ハッと我に返るわけですが、このエントリーは満月をお知らせしようと思って書き始めたのでした。物事が”満ちる”イベントで起こる、土星期間の切り替わり。星々が「頑張ったね」と、呼びかけてくれているような気がする──というのは、いささかポエティックに過ぎる表現でしょうか。
この満月については、例によって例のごとくVOGUE様で書いてしまいました。むむ。ブログに書くことがないぞ…
おとめ座の満月ということで「調整」の意味がびしりと効いてくるでしょう。仕事や自分に課せられた役割など、自分が抱えているものに責任を持ち、それをまっとうすることが”満ちる”ときです。課せられたことにベストを尽くすためには、自分が頑張り続けられるだけの「ちょうどいい」状態を維持することが必要です。おとめ座の「調整」は、責任と自分のポテンシャルをはかったうえで現状を整えること。満月では、その調整度合いが見えてきます。今のやり方がベストであれば、素敵なことです。その調子でやっていきましょう。ただ、現状でたくさんのものを抱えすぎている、無理をしすぎているということであれば振り返りと見直しをやっていくのが、この満月というタイミングに向いたアクションです。
満月は7日ですが、その影響は8日まで続きます。おとめ座の対岸のうお座では、水星と土星、太陽、海王星がきらめいて、月を見つめています。この構図が、私はとても美しく見えるのですね。限りなくロジカルでストイック、それがおとめ座満月の「調整」の意味を研ぎ澄ませていきます。
でも実は、物事をファジーに見るイマジネーションの力も、「あっていい」状態です。合理性だけでは成り立たない、矛盾も迷いもすべてを溶解するうお座的な優しさがここにあると思うのです。それを、対岸の月と向き合うことでパーフェクトなものにする。心も、からだも、現実もイマジネーションも調和していける。そんな希望が、あるように感じます。
溶け合えないものが、溶け合う。そんなちいさな奇跡が、この満月にはあるんじゃないでしょうか。自分を律するようにして頑張った日々の恩恵として。歯を食いしばって、声を押し殺して枕に顔を押し付けた夜だって、決して無駄じゃなかった。ときは満ちる、物事も満ちる。そして少しストイックな「次の目標」が、この満月前後からじわり、浮かび上がってくるだろうと思います。
どなたにとっても、良い満月でありますように。
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\本が出ました/
『真木あかりの超実践 星占い入門』(主婦の友社)です。占いを学び始めた頃の「なんで!?!?!?!?」がハラオチしたときのことを丁寧に振り返り、理解のヒントとなるように力を尽くしました。プロダクトとしても心地よく実用的な本に仕上がっていると思います(※頑張ったのは編集者さんとデザイナーさんです)。ぜひ、お手にとってご覧いただけますと幸いです。
(近況)
静岡に住んでいる両親が、本が出たということで開店と同時に書店に足を運んでくれたというのを聞いてちょっと泣きました。品出し前だったそうで、書店員さんにはお手数うをおかけしました。
要領が悪く生き方が下手で、小学校に入ったら即いじめられ、車に轢かれること3.5回、家出すること2回、結婚すること3回、いつの間にか過労で倒れ入院し、いつの間にか会社を辞め(近所で通り魔事件があったことを契機に親バレw)、といった具合で、心配ばかりかけてきた人生でした。我ながら情報量が多い。まあいいんですけど(よくない)、発売2日後には両親から「売り切れだったよ」というメールが。長く商売をやってきた両親です。在庫がどうこうとか、出足の良し悪しとか、肌感覚でわかっている人たちです。たくさん入荷されないほど人気がないと心配しているのか、喜んでいるのか、きっと両方なのだと思うのだけど、本を買ってくださった皆様、本当にありがとうございました。改めてお礼申し上げます。