「おまえじゃなきゃだめなんだ」、私は言われたいタイプです。
で、角田光代さんの短編集『おまえじゃなきゃだめなんだ』を読みました。上辺だけの恋に本気になったり、見栄をはって相手に冷たくあたったりと、いわゆる“若い恋”をした後に訪れた、穏やかで誠実な恋。しかしーーというお話なのですが、主人公と年齢的に近いこともあり、頭を殴られたような衝撃を受けました。
そこそこ出会いはあっても、恋が短命に終わってしまったり、遊ばれて傷つくことが多い人には良いかもしれません。救われないけど、自分が求めている愛に関して、欲望がいったんリセットされて良い状態になれるんですね。こういう、ニュートラルな感覚を取り戻すのは大切です。激しい渦の中にいては、人はただ生きているだけで必死なもの。何も考えられませんからね。
角田さんの作品は、いつもタイトルで胸を掴まれます。『だれかのいとしいひと』『それもまたちいさな光』など、華やかでも美しくもない、愛の真実というものを見せつけられた気になるのです。
恋愛における「執着」を考えるうえで対照的な本も挙げておきましょう。山本文緒さん『恋愛中毒』と江國香織さん『神様のボート』。どちらもぞっとするほど狂っています。すごく怖いけれど、貫いている。
清原なつのさんの「アンドロイドは電気毛布の夢を見るか?」などの一連のアンドロイドものや「真珠とり」などのSFもの、アレックスが登場するタイムトラベルもの、「飛行少年モッ君の場合」などは非常に優れた恋愛漫画だと思うのだけど、今ではコミックスに収録されていないものも多いんだな……。とりあえずこちらをご紹介。
アラフォーの戸惑う恋愛を描くならこの2作品が良いと思う。若いころの恋とは違う、大切にしたいものと時間。
秋の夜長にぜひどうぞ。
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