『さよならは小さい声で』という、松浦弥太郎さんのエッセイを読んだ。表題ともなっているエピソードは、松浦さんの幼少期のもの。小学校の頃に通っていた学童保育のT先生(女性)にまつわるもので、松浦さんをはじめ皆がT先生を慕っていたそうだ。ある日の夕方、そろそろ帰ろうという時間帯になっても、少年の松浦さんは帰りたくない、T先生と別れがたい気持ちでいた。そんな彼に対し、T先生はある提案をするのだ。
「あのね、小さい声でさよならを言うの。秘密だから誰にも聴かれないように、ちっちゃい声でさよならを言うの」
先生はとても小さい声でさよならを言った。松浦少年もできるだけ小さい声でさよならと言い、夕焼け雲を振り返り振り返りしつつ帰っていく。そして大人になった松浦さんは「相手への思いがあるほど『さよなら』が言えなくなってしまう。そんな時、必ずT先生のことを思い出す。そして、『さよならは小さい声で』とつぶやく。さよならは小さい声で」とエッセイを締めくくるのだ。
大人になってからのさよならは、学童とちょっと違う。「またあした」とイコールではなくて、「会えない」「会わない」の決意表明という意味合いをはらむからだ。だからこそ、相手だけに届くほどの小さいさよならがいいように思う。誰にも聴かれないように、ふたりだけのものであるように。できるだけ、できるだけ楽しかった日々の思い出が続いて、自分も相手も傷つけたり絶望させたりすることのないように。そして占い師という立場で言わせてもらうなら、もしも誰かとの関係でさよならを考えるときがあったなら、相手に伝える前にそっと「さよなら」と、ひとりでつぶやいてみるといいだろうと思う。ここまでがんばってきた自分自身の気持ちにさよならと言うことも、きっと気持ちの整理につながるはずなので。自分だけに聞こえるように、小さい声で。
さよならは小さい声で。
さよならは小さい声で。
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