2022年7月29日、しし座で新月が起こります。新月は「スタート」のタイミング。自分が自分であることに、自分らしさを表現していくことについて、新たな動きを起こしたり決意を固めたりする人はとても多いでしょう。今回注目すべき部分は、同じ日におひつじ座に滞在している「幸運と拡大の星」と呼ばれる木星が逆行を始め、この新月と調和の角度となること。これにより、「どんな幸せも自分がそう思うのであれば幸せなのだ」という肯定感とともに、自分にとっての幸福を見つめていく日々がスタートするでしょう。木星逆行は11月下旬まで続きます。なかでも影響が強いのは、おひつじ座内で逆行をする10月末までの期間。夏から秋にかけての、幸福と向き合うシーズンです。
木星の逆行は、私は「幸福というものの価値観を見直すタイミング」ととらえています。幸福というものは人類に普遍的なもののようでいて、必ずしもそうではありません。トルストイは『アンナ・カレーニナ』で「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」と書きましたが、現代に至っては特に(※『アンナ・カレーニナ』は1877年刊行)幸福のかたちは生き方がバリエーション豊かになったのと同じ分だけ、寿命が伸びた分だけ、さまざまな様相を見せているでしょう。成長するにつれ、しみじみと理解できる幸福のかたちもあります。たとえ世の中の人が口を揃えて「それは幸福ではないよ」と言ったとしても「私はこれがいいのだ」と守り抜きたい幸福もあるでしょう。たとえこの先、愚かだったと後悔する未来が予測できたとしてもなお「今この瞬間、私はこれが幸福なのだ」と言いたいことだってあるはずです。そんな時代において幸福の価値観というものは一定であろうはずがなく、変わることも往々にしてあるでしょう。それは成長であり、学びの結果でもあるはずです。仮に、こうした変化に気づかなければ、心と現実のミスマッチにもつながりかねません。
ここから11月下旬まで、多くの人が「自分にとって、幸福ってなんだろう」と、一歩立ち止まって考える時間が増えるでしょう。そのとき、今回の新月が意味する「自分が自分であること」「自分らしさを表現していくこと」におけるスタート、という意味が効いてきます。
肯定というのは「あっていい」と思うことです。それを幸福と思う自分が好きかとか、あるのが正しいのかどうかとか、そういったことはまったく関係ありません。自分はこれが幸福で、これから追い求めていきたい。そのことを丸ごとOKと考える力が、静かに胸のなかに宿るのだろうと思います。
自分が思う幸福に、本当の意味でOKを出してあげられるのは自分だけです。「いいね」とか「応援するよ」といったことを言ってくれる人もきっといるでしょう。でも、最終的に決断するのは自分なんですね。自分しか、いないんです。そうした意味で、非常に希望に満ちた前向きな新月にしていかれる人が多いだろうと思います。幸福における価値観を巡る旅、一緒に踏み出してまいりましょう。
どなたにとっても、よい新月でありますように。
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<近況>
稲川淳二が夏の季語になったとのことでいろいろ思いを巡らせておりました。俳句で人名が入ったものってあったでしょうか。手元の歳時記や所有している俳人の本を見るに「西鶴忌障子を貼って独り者」(鈴木真砂女)とか「芭蕉忌やはなればなれにしぐれをり」(加藤楸邨)など、忌日を詠んだものはあっても、フルネームってあまりないような気がするのですよね。
ひとつだけ思い出すのは、私の往年の愛読書『VOW』という大変お下劣な本に載っていた新聞への投稿「気がつけば野際陽子のいない秋」なのですが、肝心の野際陽子でよかったのかどうか思い出せないのです。手持ちのVOWをざっと探したものの、布袋寅泰のふりがなが誤植で「ぬのぶくろとらやす」になっているのとか、ジュンスカのが「ジュン&スカ」となっているのを見て笑っていたら夜中になってしまいました。俺はいったい何をやっているんだこんな夜中に。真面目に季語を知りたかっただけなのに。そうこうするうち、占いコーナーの誤植「気の合う仲間と族に出てみては」というのを見つけてゲラゲラ笑ったり(旅だよ!)新聞のお詫びコーナーの誤植「お詫びしやす」というのを見つけてフフッとしたりで(そこ間違ったらいかんだろうw)、夜はあっという間にふけていくのでした。こういうので一番有名なのは「インド人を右に」ですよね。詳しく知りたい方はぜひ検索をw
ちなみに鈴木真砂女は「夏帯や運切りひらき切りひらき」という夏の句が好きです。夏帯をきりりと締めて、自分で自分の運を切り開いていくのだよね。