2020年12月17日、土星がみずがめ座に移動します。このことについて、教科書的な本やサイトはすでに優れたものがたくさんありますから、私は自身の経験も振り返りつつ、つらつらとまとめてみたいと思います。こんなケースもあるんだな、くらいに思っていただけたら嬉しいです。
土星は「制限と試練の星」と呼ばれる惑星で、厳しい先生に例えられたりします。厳しい先生といえばまた私の華麗なる黒歴史が火を吹くぜ、ってハッ冒頭から何を言っているんだ俺は。太字にするところがおかしいだろ。珍しく我に返ったところで真面目にいきますすみません。土星が現在のやぎ座に入ったのは2017年末のこと。途中、2020年3月にみずがめ座に移動しましたが、7月頭からふたたびやぎ座に戻っていました。今度の移動により、土星は完全にみずがめ座に居場所を移し、以降2023年3月初旬までみずがめ座の旅を続けていくことになります。
土星は凶星(マレフィック)と定義されることもありますが、何も私たちをいじめるために巡るわけではありません。このことを説明する一文を、サターン 土星の心理占星学 新装版から引いてみたいと思います。ちなみに本書、ご存知の方も多いと思いますが、めちゃめちゃ面白いです。
土星は苦痛や試練のみを象徴すると考えられがちだが、心的過程も象徴している。心的過程とは、苦痛や試練などの経験を、より優れた意識を達成する手段として活用する足がかりである。
リズ・グリーンは続けます。土星には抗しがたい魅力はなく、マゾヒストが感じるような苦痛を愉悦として感じるような感性でもない。ただ、土星の力によって心理的な解放の喜びを知ることができる、と。
松村潔先生の『土星占星術講座 ~あなたの人生の設計図が見える~』では、「秩序のある人生コースは主に土星が関わっています」とあります。
これは私自身も経験があることです。過去10年くらいを振り返ってみると、甘ったれて向き合わずにきた部分について、見事に土星が巡るテーマによって修正されてきました。今までの人生で何度か問題として直面したものの、だましだまし逃げ続けてきたこと。成長せずにきたこと。それらが、より大きな問題としておのれの身に降り掛かってきたという感じでした。これに関しては私個人の感じ方であり、土星の影響をキツいなと思った人が皆、私のように自堕落な生き方をしてきたわけではないはずです。そのあたりは、ご承知くださいね。
ただ、私は今となって思うのです。向き合いなんとか消化してきた土星のテーマはどれもが、「しっかり向き合ってよかった。キツかったけど、かつてのままの自分でいたら、ずっとわけのわからない生きづらさを抱えたままだっただろう」と思えるものでした。同じ失敗を繰り返したり、懲りもせず依存を繰り返したりして、あんな自分のままでは、いたくなかった。その状態でいても、決して楽でも楽しくもなかったから。
キツくなかったと言ったら大嘘になります。私の場合は、この土星関連のテーマについて、とにかく味方がいませんでした。「この人なら助けてくれるだろう」「プロだから、お金はかかるけど力を貸してくれるだろう」と思っていたら、見事に全部アテが外れました。当時の恋人ですらも(笑)。お前も助けてくれんのかいコラ状態ですよ。ナメてかかっちゃいけなかったし、自分で自分のケツを拭かなくちゃ、いけなかった。そのことに気付いてからはひとつ、乗り越えた気持ちになりました。
悪いことではなかったのです。ひとりで決断して、ひとりで解決して、思いました。ああ、これでやっと自立できたんだと。誰かに頼るということは、その人に自分の一部を受け渡してしまうことでもあります。でも、私にはそういう生き方は合わないんですよね。自由でいたいなら、これでよかった。ずっと孤独感にさいなまれてきましたが、個ではあるけれど、孤独ではなかったのです。そんなふうに精神的な折り合いをつけていきました。
そう考えると、土星がひとつのテーマに与える約2年半という期間は、ちょうどいいのかもしれません。リズ・グリーンの言う、「心理的な解放の喜び」に、はたと納得した瞬間でした。
だから向こう2年3ヵ月の土星の旅も、問題も解決法もきっと「自分が向き合わずにきたこと」のなかにあるんじゃないだろうかと思っています。今度はじたばたせずに、ガチで刺し違える覚悟で命(タマ)を取りに……ってなんか途中からヤクザ漫画が混ざってきたな。いかんいかん(ドスをしまいながら)。えーと、粛々と向き合いたいと考える次第です。ん〜、でもまあ、やっぱりじたばたするのかな。やだなあ、と思ったりするんだろうな。なかなかスマートにはいきませんけれども、それもまた私の人生なのだろうと思います。
土星が巡ってくる場所が司るテーマが、愛や仕事、自分自身なんかだと、気持ちがくさくさしてくる人も少なくないでしょう。でも、起こることは決して災厄とかアンラッキーとかいった、チンケなものではありません。「心理的な解放の喜び」を獲得する、挑戦しがいのあるチャンスです。面倒くさかったり気分じゃなかったりして、向き合わずに逃げることも可能かもしれません。ただ、そのテーマはこの後の人生のどこかでまた、かたちを変えて巡ってくる。「だったらまあ、今やりますか」、そんなふうに思えたらきっと活かしやすいだろうと思います。
土星がもたらすテーマは、ざっくり申し上げると下記における「試練と制限」になります。試練というのは試されるような出来事、制限は頭をぐっと押さえつけられるような窮屈さや重たさ。いずれも気が進むようなものではありませんが、向き合って改善・解消をはかることで、心理的に成長しやすいでしょう。下記のテーマにおいてそういった感覚を伴うことがあれば「だったらまあ、今やりますか」モードでいく、というのはアリだろうと思います。
2021年上半期 12星座別あなたの運勢 (幻冬舎plus+) のなかでは、他の星も含めた総合的な見立てをしておりますが、シンプルに抜き出してまいりましょう。
- おひつじ座…友人・仲間、自由、未来に関すること、“みんな”のなかで何をする
- おうし座…仕事や所属している組織における役割、責任、キャリア
- ふたご座…高度な勉強、精神的な鍛錬、遠方に赴くこと
- かに座…相続、パートナーの収入・資産、ローン、責任ある立場を受け継ぐこと、教わること
- しし座…対人関係、結婚、パートナーシップ、共同でやっていることの責任
- おとめ座…健康、生活習慣、仕事、自分の役割を果たすこと
- てんびん座…恋愛、子ども、投資、クリエイティブワーク
- さそり座…家族、不動産、拠って立つ場所、居場所(自宅が多いが、会社という人も)
- いて座…コミュニケーション、すぐに役立つ学び、移動、情報発信
- やぎ座…才能、お金、収入アップのための努力
- みずがめ座…自分自身のこと、アイデンティティに関すること
- うお座…秘密、目に見えないもの、見ないふりをしてきたもの、過去
という感じです。
ご参考にしていただけたらと思います。
私の、ちょっとかっこ悪いところ丸出しの土星ネタは以上です……が、今回、ブログで土星について書こうと思った理由について、お恥ずかしいのですが述べておきます。
ブログで取り上げたのは、土星が巡ってくることが、「こわい」と思ってしまう方がいるのではないか、と考えたからです。これは私自身の、プロとして大変お恥ずかしい経験によります。今でも思い出すたびにただただ申し訳ない気持ちでいっぱいになるのですが、土星が自分の星座を抜けたときに、私は大喜びしてしまったのです。やっと終わる、自分は本当によく頑張った、これから明るくなっていくに違いないと。すると次に土星が進む星座の方が「そんなに辛かったのか……これから自分もそうかと思うと、不安でたまらない」とおっしゃいました。一般の方が素直な感情表出をなさるのは、何ひとつ悪いことではありません。でも、占い師がこんなふうに振る舞うべきではなかった。土星の良い面も語らずに、ただの凶星のように表現するとは、なんてことをしてしまったのだろう。心から反省しました。だから、メリットも含めてできるだけ正直に書いてみた次第です。
もちろん喜ぶ同業の方がいらっしゃっても、咎めだてするつもりはありません。私の、個人的な戒めですから。
これはどの惑星も同じことですが、星座をわたることで前の星座のテーマを終え、次の星座のテーマに取り掛かります。土星でいえば、試練のあとには、別の試練が来る。もちろん影響が強く出る星座もあれば、それほどでもない星座もあります。ただ、「ハイ、終わり!」というものではないのですね。だから土星のこともただ怖がるのではなく、「ここまでよく頑張ったなあ。次に自分が成長し、開放されるべきテーマはこれか」とフラットに見ていけたなら、見通しは立ちやすくなるのかなと思います。
どなたも、土星を自分にとって有意義なように、活用していけますように。
(以下宣伝です)
2021年上半期の運勢本、今年もお陰様で出させていただきました。グレート・コンジャンクション後の半年を読み解いております。12星座ごとの分冊版もあります。
幻冬舎plusにて、けっこうたくさん無料で読めます。