占い師・真木あかりのブログ

四柱推命を中心に、12星座占い、九星気学、タロット、風水、数秘術等で鑑定を行う占い師・真木あかりのいろいろ覚書です。占いコンテンツの企画、執筆、連載ご依頼随時承ります。アプリ「チベタン・オラクル」好評配信中。個人鑑定受け付けております。LINE占いか公式サイトよりどうぞ。twitterは@makiakariです。主に日記を綴っているnoteはhttps://note.mu/maki_akari、Instagramはmaki_akariです。

【ご質問にお答えします】悩んだときにふと読む本は

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ご質問にお答えしますコーナーをつくりました。鑑定が必要な個別のご質問にはお答えできませんが、「真木あかりは○○についてどう考えているか?」といったことがありましたらお気軽にこちらからお寄せください。ほうぼうに配慮が必要なものはご回答を控えさせていただくことがあるかと思います。ご了承くださいね。シンプルなものはTwitterで、しっかりとご回答したいものはブログで書いていく予定です。

 

今回はこちらのご質問です。

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確かに本は好きですが、いばれるほど読んでいるわけではないのです。なのでご紹介するのはおこがましい気がするのですが、ページの角が擦り切れてまるくなった本はきっと私の血肉になっていると思います。出会えてよかったと思う本をご紹介したいと思います。

 

アラン『幸福論』 自分を幸福にするのは他ならぬ自分なのだと、静かにつよく思える本

このブログでも執筆した本でも何度も引用していますが、私はこの本が大好きです。角川文庫や岩波文庫からも出ていますが、私はこの日経BP社、村井章子さん訳のものが至高だと思っています。

「プロポ」という、いわばエッセイのような形式で書かれているので、哲学ジャンルの本のなかでも親しみやすいです。眠れない夜にぱらぱらとめくっていると、「そうだよねえ。うん、そうなんだよねえ」と、心にすとんと優しくおさまるような文章に出会えます。一生大切にしていきたい本です。

幸福でいることには意思の力が働いている
(「悲しいマリー」1913.8.18)

この文章に代表されるように、私が『幸福論』を好きな理由は、「自分がどうにかできること」を教えてくれるからです。変わろうと煽るのではなく、ポジティブな姿勢を強いるのでもなく、やわらかに「現実」を提案してくれるところを私は愛しています。

幸福論

幸福論

 

 

村上春樹『遠い太鼓』 無人島になにかひとつだけ持っていくなら、この本をえらぶ

もう昔のことですが、いろいろあって鞄ひとつで家を出ました。いってきます、と玄関を出て仕事に行って、そのまま戻りませんでした。通勤のときに使っていた鞄に入れられるものには限りがあり、パソコンと財布、ノートとペン、携帯電話、文庫本が1冊がせいぜいでした。たくさん好きな本がありました、でも断腸の思いで選んだ1冊が『遠い太鼓』です。

村上春樹が海外に住み『ノルウェイの森』や『ダンス・ダンス・ダンス』を書いた約3年間に綴ったスケッチの数々。武田百合子の『富士日記』が好きな方ならきっと、お好きだろうと思います。が、個人的に思い入れがあるだけかもしれません。誰もが読んで「おお」となるわけではないだろうけれど、角がまるくなってページが黄ばむほどの年月を経ても、ことあるごとに開きたくなる本なのです。

 

遠い太鼓 (講談社文庫)

遠い太鼓 (講談社文庫)

 

 

辻邦生「ある生涯の7つの場所」シリーズ(全7冊) 色彩が鮮やかに飛び込んでくる、美しく端正な物語

こんなにもみずみずしい色を持った小説があるのか、こんなにも明快かつ重層的な構成が可能なのかと、中毒のように読みふけった作品群。全体で7冊、100篇あまりの短編が「色彩」と「時間軸」をキーに、縦糸と横糸となって1枚のタペストリーを織り上げていくのです。端正で美しくて、映画のようにぱっと目の前に光景が浮かぶ文章。ううん、浮かぶんじゃない。色彩の洪水が襲いかかってくるような、そんなときもありました。絵画を見ているようなのです。いつか、こんな文章を書けるようになりたい。

 

 

ニーチェツァラトゥストラ』 苦しいことが続いたとき、乗り越える覚悟をくれた本

 言わずとしれたニーチェの代表作。とはいえ読んだ直後はあまり腑に落ちる感じではなく「永劫回帰」という概念になじめずにいました。頭ではわかっているけれど、人生がそんな厳しいものだなんて納得がいかないじゃないか。そう思っていたのですが、数年かけてやっと「このことか」と心底ハラオチした次第です。読書体験的にも非常に面白い本でした。そして、しんどかった過去を乗り越えようと思わせてくれもしました。

生がわれわれに約束するところのものーーそれをわれわれが生にたいして果たそう

ツァラトゥストラ』<2>(中公クラシックス

中公クラシックスは注釈がわかりやすいので(という発言には賛否がありそうですが)読み進めやすかったです。この文章の注釈には「生はわれわれに創造や愛の喜びなどを約束してくれる。それを漫然と待つのではなく、われわれの力で実現させよう」とあります。

ツァラトゥストラ〈1〉 (中公クラシックス)

ツァラトゥストラ〈1〉 (中公クラシックス)

 
 
城アラキ長友 健篩バーテンダー』 さまざまな人生、そして明日を生きる力

バーという舞台で繰り広げられる人間模様。政治家もいればOLも、詐欺師もいて、それぞれの思惑が交錯していく。こうした人間模様もすばらしいのだけど、バーテンダーという「特定の分野に精通したプロ」が訪れる人の心を癒やし、納得させ、明日を生きる元気を与えるという姿に共感しているのかもしれません。

 noteでも書いています。

 

バーテンダー 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

バーテンダー 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

 

フロム『愛するということ』いま考える、「愛するとはどういうことか」

人を愛する、という行為は、長い歴史のなかで今がもっとも自由なのだろうと思います。ただ、学校で教えてくれる概念でもなく、世の中にあふれるあらゆる情報のどこを切り取って愛の概念をつくりあげていくかで、人によってあまりに異なる認識をしていることも少なくありません。それが、すれ違いやいがみ合いの原因になったりすることもあります。愛されることではなく、愛するということ。たとえば大学時代に、一般教養としてこの本を読み解く授業があったら受けたかったな、と思ったのでした。

愛とは信念の行為であり、わずかな信念しか持っていない人は、わずかしか愛することができない。

『愛するということ』紀伊國屋書店

もっと早くこの本に出会っていれば、これまでの恋人たちをもっとうまく愛せたのかなあ。でも、それは思い上がりなんでしょうね。私は人間的に未熟でした。でも、この本に出会えてからは愛の厚みが増した、気がしています。

愛するということ 新訳版

愛するということ 新訳版

 

 

茨木のり子『歳月』花神社 主体的に人生を選ぶ勇気を与えてくれた本

「倚りかからず」「わたしが一番きれいだったとき」などの詩で知られ、「現代詩の長女」と呼ばれる茨木のり子さん。凛々しい、という言葉が似合う茨木さんが大好きです。なかでも「歳月」は好きで、占いやブログでも何度か引用しています。本書のタイトルにもなっている「歳月」という詩は、こんなふうに結ばれるんですね。

けれど
歳月だけではないでしょう
たった一日っきりの
稲妻のような真実を
抱きしめて生き抜いている人もいますもの

「歳月」

 占い師として、多様な方の多様なお悩みに向き合ってきました。マジョリティな生き方なりの苦悩も、マイノリティな生き方ならではの苦悩も知っています。何が正しいかは自分で決めること、誰もがきっとわかってはいても悩むのですよね。ともに夫婦として歳月を重ねていくこと、たとえ一瞬だけであっても真実と思ったものを抱きしめて生きること。どちらも価値があることなのですよね。どちらの人生にも伴走する占い師という仕事において、この詩と出会えて本当によかった。私が主体的に人生を選ぶことを決めたとき、背中を押してくれた本でもありました。

茨木のり子の家という本もあって、併せて読むとよりしみじみします。

歳月

歳月

 

 

といったところでしょうか。

こうやって書くと、もっともっと挙げたい本が出てくるから不思議ですね。『わたしを離さないで』とか『きのう何食べた?』とか『天国旅行』とか、ほんとうにほんとうにいろいろ、あります。

この質問によって、素晴らしい出会いをたくさん思い出させていただきました。私に質問をくださって、ほんとうにありがとうございました。

 

 

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noteで暗い日記を書いています。正直なところ、どうして自分がこんなに暗い日記を書いてしまうのかわかりませんw 多分暗いのでしょう。

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