伊藤計劃さんの『虐殺器官』を読んでいる。その中で胸を突かれたセンテンス。
理由を告げずに逝くことは、遺された者を呪縛する。自分がなぜ気がつかなかったのか、自分が悪かったのではないか、自分が他ならぬその死の理由なのではないか。死者は答えない。だからこの呪いは本質的に解かれることはありえない。
生死に関わるようなことでもないのだけれど、 LINEやメールも同じだよなあ、と思う。ぷっつりと途絶えたやり取り。既読にならないメッセージ。それが受け手を呪縛する。返信がないのは自分が悪かったのではないか。自分が原因なのではないか。
真夜中の「愛してる」も、朝イチの「お仕事がんばってね」も、秘めた思いのひだも。気軽に気持ちを送り合える今だからこそ、私たちは絶望も感じやすくなっているのだろうと思う。
だからこそ、一度でも愛した相手なら、最後までコミュニケーションをとってほしいな、と思う水星逆行の終わりも近づいた深夜のつぶやきでした。個人的に何があったわけでもありません。ただ、胸を引き裂かれるような思いで待っているたくさんの心を知っているので。