ちょっとだけ昔話をしようかな……
今は真木あかりとして占い師のお仕事を多くしておりますが、もともとは広告などで使われるテキストを書く人でした。キャッチコピーとか、広告テキストですね。化粧品メーカーさんから飲料メーカーさん、大きな会社さんからちいさな会社さん……幅広く書かせていただく怒涛の日々のなかで、私がポリシーとしていたのは「誰も傷つかないように」ということでした。私が書いたものを読んで、悲しむ人がいないように。誰も、心に棘を刺さずに済むように。
自分が、気にしぃな性格だったからかもしれません。当時はそのときの恋人に何度も結婚を拒否された結果、街中で幸せそうなファミリーを見るたびに絶望感にさいなまれていました。もちろん、幸せそうなんて一瞬の感想でしかないことはわかっています。その裏にはひたすら、地道な日々がぎっしり詰まっているはずで。でも「受け入れてもらえない私」「幸せになれない私」で思考がストップしてしまうんですよ。
人はものすごく傷つきやすい。だから、誰も傷つかないような言葉を……と、一番に考えて書いていました。
あるとき、お仕事でご一緒した広告代理店の方にこのことを話したら、「またそんなキレイゴトをw」と一笑に付されました。
(またすごい否定の仕方をするなと思いましたが(∪ ´ω` ))そりゃそうです。100%、誰かが傷つかない文章をを出すなんて無理。価値観が違うんだもの。幸せそうなファミリーを見て傷ついていた自分がいるからわかります。痛みを持った人にとっては、たったひとりで涙をこぼさなければいけない状況の人にとっては、世間の常識や幸せすらも刃になるのです。
誰も傷つけないなんてことは無理。割り切ってやったほうが楽なんです。特にいまのネット社会は、そんな風潮があるように感じています。
それでも私は、言葉を使う仕事である限り、やっぱり傷つけないことを目指していきたいと思うのです。曖昧にぼかすという意味じゃない、真摯に表現をしたい。たとえキレイゴトだとしても、ときに失敗することがあるかもしれないとしても。ただの自己満足だとしても、できるだけそうしていきたい。ああ、またキレイゴト言っちゃってるかもしれないなあ(笑)。手に入らないから欲しいと思っているだけなのかもしれない。でもまあ、それもまた人生、よね。