私の歴代の恋人たちは「好きだ」だの「愛してる」だの、言わない人たちばかりでした。私はもう何十回でも、いや何百回でも言って欲しいタイプなので、えらくさみしい思いもしたものです。若いころは「好きって言って!」なんて可愛く(思い込み)言ってみたものですが……って今も言ってるか!? でも、「いやそういうの苦手で」と返されるばかり。そのひとことが、どんなに私を強く優しくするかわからないのかなあ。それだけで1日、笑顔で過ごせるのになあと、淋しく思うのが常でした。
でも、歴代の恋人たちはなぜか全員、私の仕事を100%信用してくれていました。おそらく彼ら、私の書いたものをほとんど読んでいないはずです。チラ見くらいはしたことがあるかもしれませんが、私がPCに向かって書いている姿しか見ていないはずです。
それでも、どの恋人も
「あなたが書いたものなら素晴らしいはずだ」
と言ってくれていたんですね。言い方は人それぞれ、でしたけれども。
今の恋人(例のクールすぎる恋人です)も、たぶん、私の文章なんてまじめに読んだことはないんです。そして、朝から晩までずっと背中を向けて原稿を書いている、そういう私しか見ていないはず。でも「すごく心あたたまるレビューをいただいたよ」とか言うと「当たり前やないか」と返してくるわけですね。いやだからクールすぎるだろ褒めろよ。ってツッコミはともかく、私ならベストを尽くしているに決まってる、誰かの役に立って当たり前だと思ってくれていたのですね。本当に嬉しかった。
熱烈に愛情表現をされたいと思うときもあるのだけれど、これも彼なりの愛情表現なんだなと思った次第です。ないものにフォーカスするのではなく、今あるものに目を向ける。そこにきっと愛があるのだ。誰でもそれぞれに愛があって、だから今、言葉にしてもらえなくて不安な人もきっと大丈夫。気づいてあげよう。
歴代の恋人も言葉にこそしなかったけれど、いろいろな形で愛を示してくれていたんだろうと思います。あの頃わかってあげられなくて本当にすまん。当時は占い師じゃなかったしさ……!! という言い訳はともかく、彼らに対し「滅びろ!」とか思っていた自分を、今になっていたく反省したのでありました(∪ ´ω` ) すまん! マジですまん! そして、ほんとうにありがとう。
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