鑑定のご依頼でかなり多くの人がおっしゃるのが「彼(彼女)の気持ちがわからない、教えて欲しい」ということ。
心理学を大学で学ぶと、人は人の気持ちなど理解することはできない、と徹底的に教えこまれます。カウンセリングの授業でやりますよ、「お気持ちよくわかります」って言っちゃいけない、ってね。最初の授業で「人の心を読むようなイメージがあるけど、無理ですからね」的なことを言われることも多いんじゃないでしょうか。ちなみに他の心理学あるあるは「心理学は文系だと思っている人が多いけど、理系の学問ですからね」「血液型占いの根拠はありません」と言われることだと思う(笑)。
と、思い切り話が横にそれましたが。
そう、他人の心なんて読むのは絶対に無理。今後、テクノロジーの力で可能になるでしょうか。SF好きとしては(小松左京と筒井康隆が好きですw)ロマンを感じますが、倫理的に制限されそうですよね。それでも、私たちは大切なあの人の、友達の、親兄弟の心を知りたいと切望します。自分の心ですら、わからない部分を知りたいと思う。心理ゲームが人気なのは、まさにそれなんです。
絶対無理、だとわかっているのにね。
それでも知りたいと思うのは、私は、優しさなのだろうと思います。
こんな話を書いているのは、ここのところ関東で少し地震が相次いでいるから。
直下型の揺れを感じたときはちょうどLINE占いの鑑定中だったのですが、肝を冷やしました。東海地震が来ると言われつつ30年以上来ていない静岡で生まれ育った私です。静岡の小学校の避難訓練なんて本気ですよ。朝礼台の上で校長先生がストップウォッチを持って待っていて「ハイ3分を過ぎたので3組は全員死にました」と言ったのを今でも鮮明に思い出します。今はどうか知りませんが。
さて、そんな英才教育を受けた私ですが、大震災レベルの地震は経験したことがありません。で、東日本大震災が起きました。東京は震度5強で、本当に恐怖を感じました。喧嘩中だった当時の恋人に「お願いだから今夜は一緒にいて」と頼み込んだのです。
彼は一緒にいてくれました。それだけで安心できました。
しかし翌朝、余震が続くなか「もう帰って」と言われたのですね。彼は喧嘩を継続しようとしたのでした。よほど怒っていたのでしょう。私を許せなかったのでしょう。ぐらぐらと揺れ続ける中、でも怖いと言う私に、彼は言ったのでした。
「君は怖いと言うけれど、僕は阪神大震災も経験しているから怖くない」
このとき、私は「わからない」で終わらせることは諦めではなく、明確な拒絶なのだなと思いました。諦めよりもずうっと、強い意味あいの。君の気持ちはわかりたくないし知りたくもない。受け入れたくもない。自分とは関係ない。出ていってほしい。
そういうことですよね。
その後大学に入り直して心理学を学んだのも、このときの衝撃がひとつの契機になっています(他にもありますが・笑)。
わからないけれど「わかりたい」と思うということ。
彼(彼女)は何を考えているんだろう。私のことをどう思っているんだろう。会っていないとき、考えてくれているだろうか。会いたいと思ってくれているだろうか。
絶対にわからないけれど、どうしてもわかりたい。
それって、愛であり、優しさなんです。
ただの好奇心の場合も、白黒つけたいだけの場合も、自分が安心したいだけの場合もあるとしても、私は「わかりたい」と思うことは、優しさのひとつであると思います。好きだからわかりたいんです。
もしもわかったら、こんなことをしてあげたい。ねぎらってあげたい。安心して眠って、今度会うときは最高の笑顔を見せてあげたい。
だからこそ、わかりたいと思うのですよね。
占いには、それができます。
わかったからといって、それが100%正しいかということは、本人にすらわからないでしょう。でも、私は彼の心を、読んでお伝えすることができます。
科学的には絶対にわからないと言われているものを、それでもわかりたいと願う祈りにもにた優しさに、そっと力を貸してあげられたらと思うのです。
好きじゃなかったら、どうでもいいもの。相手が何を考えていようがね。